港区立伝統文化交流館が2020年度のグッドデザイン賞を受賞しました。
前職、青木茂建築工房在籍時の最後の担当作品として携わらせていただいた港区立伝統文化交流館が、2020年度のグッドデザイン賞を受賞しました。前職のスタッフの方にお知らせをいただいたのですが、建物の詳細は添付のグッドデザイン賞のホームページに記載されているとおりです。延べ床が約550平方メートルの2階建ての、公共施設としては比較的小さな建物でしたが、コンペによる設計者特定などから数えると、約5年がかりの大プロジェクトでした。文化財の再生の設計をさせていただくことは初めてで、保存と利活用の両立の難しさを学びました。
コンペ提案のための各種の分析や準備には、設定された短い期間の中で、凝縮してまとめることができたと思いますが、この時は、ここまで大変なプロジェクトになるとは思っていませんでした。
文化財として建物を保存したいという考え方と、利活用するために文化財にも関わらず改造を加えたいという考え方との狭間におけるトレードオフの関係に対する、都度の決断には相当の検討と時間をかけたことなど、設計時の協力事務所や専門業者、および、港区関係者との幾度となく続けた協議や議論を昨日のことのように思い出します。
さらに、施工時において、設計時に分からない不確定要素についての対応や、設計時よりもさらに議論を繰り返して保存する部分をできる限り増やしたいという文化財係を中心とした港区担当者の歴史や文化に対する認識、港区監督員の安全・安心を確保して誰もが利用しやすい建物にするという強い思いなど、建築に対する問題意識を共有させていただくことができました。
関係する全てのみなさまに感謝を申し上げるとともに、これらの経験を今後の設計活動に活かしていきたいと考えています。
https://www.g-mark.org/award/describe/50995?token=6BLFRs6vam
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