2021年10月23日、武蔵野美術大学の源愛日児教授の退任記念としての最終講義を拝聴いたしました。昨年度、退官され最終講義の日程を調整されていたのですが、コロナの影響により、この時期のオンライン開催となっていました。 小西泰孝先生が司会をされ、1984年から2021年までの「設計課題をめぐり」と題して、「意味・変容する形式・身体」についての講義を受けました。学生時代からの着眼点、先生が研究テーマとされている木造の継手・仕口、設計課題に対する共通の問題意識、ゼミの話など、高度な内容をとても噛み砕いて分かりやすくお話をされており、意匠や構法、および、設計に対する先生のスタンスを拝聴することができました。 講義後、高橋晶子先生が受講者を代表して感想を述べられていましたが、源先生の問題意識の幅広さ、発想のユニークさ、発せられる言葉と言葉のあいだに現れる雰囲気などがただものではないと言われていましたが、私も講義を拝聴してそのように思いました。特に、川越の設計課題の設定については、京都のお話を交えながら、とても、興味深かったです。私を武蔵野美術大学にお声がけいただいた源先生ですが、先生の講義を直接、拝聴したことがなかったので、大変勉強になりました。そして、何よりも、源先生の人柄が現れている、親しみのある講義であると感じました。 建築構法と建築構法特論の講義を源先生から引き継いで、本年度から、講義をさせていただいております。これからも、まだまだ、源先生にはご指導いただきたいことがたくさんありますので、既に、名誉教授となられておりますが、今後とも、引き続き、ご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。 貴重な源先生の最終講義を拝聴させていただきました。誠にありがとうございました。 https://www.arc.musabi.ac.jp/news/ 武蔵野美術大学教授退任記念 源愛日児 最終講義
2021年10月20日、国土交通省が所管する国土交通大学校において、令和3年度の専門課程で実施される建築計画(企画・設計)という研修の「既存建築物の改修・再生」についての講義をおこなわせていただきました。 初めて小平市にある国土交通大学校に行きましたが、隣地には、長岡弘樹の小説教場を連想させる警察学校があり、近くには、私が非常勤講師をしている武蔵野美術大学があるなど、小平市は学園都市であると感じました。 受講者はオンラインで全国から参加されていました。他の講師陣は、本省の課長や専門官もいましたが、東京大学の清家剛先生、早稲田大学の古谷誠章先生、日建設計の山梨知彦さんなど、錚々たるメーンバーの中で、私もその一員として登壇させていただきました。 少しの時間でしたが、講義の前後で、今回お世話になりました同大学校の原朋久科長と、本省在籍時のお話や、これからの公共施設のあり方を議論しました。全国には、まだまだ、再利用されるべき建物が多くあるとのことで、予算が整理しずらいことや、具体的な計画を進めることが難しいことなどについての意見交換をおこないました。講義後の質疑においても、受講者と活発なディスカッションをおこない、それぞれの方が持たれている課題などについて、お話をさせていただきました。 最後に、来年度以降についても、講義を依頼したい旨のお話をいただき、原科長にご挨拶をして帰路に着きました。社会状況にもよりますが、来年度は、対面での講義になりそうとのことで、受講者も講義後の個別の意見交換を期待しているところも多いとのことでした。私としても、画面に向かってお話をするよりも、やはり、その方がよいと思っています。 お声がけいただいた東京都立大学の角田誠先生、国土交通大学校、ならびに、関係者のみなさまに感謝を申し上げます。
耐震改修をともなう建築再生を生業とする自分自身も、とても、不安な気持ちで、揺れがおさまるのを待っていました。今回の地震は、東京でも震度5弱を記録し、とても長い時間、揺れが続いていたと感じました。自宅は新耐震の構造基準で設計された建物であるし、地盤も良く、高台にあるので水の恐怖はないだろうと思いながらも、もし、仮に、建物が崩壊した時には、窓際はあぶないから建物中心よりに避難しておこうととか、家具が倒れると危険なのでどの家具を支えれば怪我はしないだろうかとか、テレビをつけると直下型と言っているので津波は発生しないなとか、東京の人はこれくらいの地震は怖くないのかななど、いろいろなことを考えながら、長い揺れがおさまるのを待っていました。 建物の安全性を確保することは、とても重要なことだと改めて実感しました。私は九州福岡の生まれで、2005年の福岡県西方沖地震を経験するまでは、地震を一度も経験したことがなく、上京後、東京で頻繁に起こる小さな地震にも、今も全く、慣れることができません。 新耐震基準で設計されて、新築時から住んでいる現在の自宅でもこのように怖さを感じるということは、旧耐震基準で設計された建物の利用者は、今回の地震を、私が感じた怖さ以上に感じたことだと思います。建物の安全安心が大切だと思いながら、通常時の利用においては、バリアフリーや雨漏りなどの安心の部分に目がいきがちですが、やはり、建物の安全性、すなわち、建物の耐震性能の確保の必要性がまず前提となるのではと感じた次第です。 大袈裟な表現になりますが、私のできることや私の持っている知見で少しでも、日本全体の安全安心に寄与できればと思いました。いつ、大地震が発生するかは誰にも分かりません。大地震の発生する可能性が低いとされている地域でも発生することが体験的にも近年の地震発生状況を見ても分かっています。福岡は地震が起こらないと言われていましたし、福岡の建物所有者は、地震保険にはほとんどの方が加入されていなかったと思います。できるうる限りの対策を講じておく必要があると感じました。 みなさま、どうか、ご安全に。