12月26日、入谷の記憶を未来に繋ぐ会が、大正12年の関東大震災復興時の改築小学校として大正15年に建設された復興小学校である旧台東区立坂本小学校の、解体前の大掃除を主催していました。 旧坂本小学校は、築100年ちかく経過した大正モダン建築であり、地域のシンボルとして、地域の方々に親しまれた建物です。平成8年に廃校になった後も、地域の活動の場として活用されていました。しかし、老朽化のために、2022年3月には解体に着手することが決定しているとのことで、残念ですが、最後のお別れとして、お掃除の会が開かれるとういうことで、最終日に台東区の伴宣久さんと一緒に参加させていただきました。 2時間のうち、1時間半は雑巾を握りしめつつも、見学を中心に建物を見て廻りました(すみません)。しかし、最後の30分は全力で体育館の舞台プロセニアム袖部分の不要物の除去をおこない、かなり綺麗になったと思います。汗 建物全体を大橋智子さんにご案内いただき、丁寧な解説をしていただきました。入谷における坂本小学校の位置付け、窓枠周りの特徴的なディテールや体育館横のトイレにある唯一現存する初代の鉄窓、木階段、柱の付け問題、可愛らしい塔屋など、極めて興味深く、説明を聞かせていただきました。大橋さんには、改めて、感謝を申し上げます。屋上からは東京スカイツリーも見え、グランドでは、地域の小学生がサッカーをやっていました。魅力あふれる小学校で、とても、心地の良い風景でした。 主催者である小林一雄さんは、以前、仕事でご一緒した今村ひろゆきさんとまちづくりや設計をされている方で、ご挨拶をさせていただきましたが、地元愛にあふれている方でした。また、主催者の一員である中村出さんにもお会いし、銭湯を再生して事務所とカフェをされていることなどのお話をしていたところ、昭和23年に坂本小学校を卒業された方のお話をお聞きすることができました。(今度、快哉湯を見学させてください!)ちょうど、昭和21年に卒業された方も参加されており、2つ先輩ですね、といった昔を懐かしむ小さな出会いの場ともなっていました。さらに、以前、別の機会で知り合いとなりました、渡邉尚恵さんも主催者の一員ということで、驚きましたが、人の繋がりを感じた日となりました。 諸般の事情があるとはいえ、地域に親しまれている貴重な遺産が解体されることは残念ですが、最後まで、見届けたいと思っています。(今更かもしれませんが、何とかなりませんかね。。)
2021年12月14日、武蔵野美術大学大学院の建築構法特論の13回目の講義が終了したことで、今年度の大学における私が受け持つ全ての授業が終了しました。今年度は、4つの大学(武蔵野美術大学、東京工芸大学、福岡大学、国土交通大学校)で、5つの講義(建築構法、建築構法特論、建築生産Ⅱ、建築キャリアデザイン、建築計画)を受け持ち、そのうち、3つの授業(3コマ)は、座学と設計演習を交えた、各13回の授業をおこなうといった内容でした。 2020年度の独立後からの設計実務と教育活動の両立は、とてもハードなものでしたが、これまでになく充実した活動となりました。1コマ13回の講義のシラバス作成から始まり、講義一連の流れや構成を組み立てつつ、カリキュラム上の位置づけ、講義ごとの達成目標を満足するための準備・採点評価など、これまでの設計実務とは異なる思考過程でしたが、講義をする立場にありながらも多くの学びがありました。これまで、学生さん側からレポートや感想をもらうことはありましたが、評価されたのも初めてでした。ボトムアップやトップアップの教育なども含めてとなりますが、座学の講義での質疑応答においても、演習でのディスカッションにおいてもですが、何より、学生さんとのやりとりが楽しく有意義な時間であったと思っています。 今年度実施した講義は、テキストに沿った授業内容もありましたが、実際の設計をおこなう実務者として伝えた現場の実情や苦労話、他方、設計の楽しさ、座学が実務にどれほど重要で活かされる知識であるかなどを伝えました。授業を行う中で、建築学、特に、建築構法や建築再生は、現場や社会に極めて近い学問であると再認識しました。 武蔵野美術大学大学院の建築構法特論では、最後のレポートの提出形式を、日本建築学会の梗概をひな形として使用することとしてみました。来週、レポートを受け取ることになっています。受講生は、初めてのレポートの形式だと思いますが、各自、自らの言葉で、授業での学びや今後の設計に活かす方法などを書いているかと思います。これらの講義が、学生さんの知見を深めるための気づきになっていれば幸いです。 来年度は、また、新たな気持ちで活動をおこなっていきたいと考えています。お声がけいただいた先生方と各大学に、改めて、感謝いたします。みなさま、今後とも、引き続き、ご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。