母校の福岡大学にて、建築再生に関する講義をさせていただきました。

8月 9, 2021

 8月5日、母校である福岡大学の高山峯夫先生にお声がけいただき、学部2年生の夏季集中講義の建築キャリアデザインという授業において、講義をさせていただきました。対面授業であることから、羽田空港にてPCR検査を受けて陰性の検査結果をもって機内に乗り込みました。2020年4月に発出された緊急事態宣言から、約1年半ぶりに帰福いたしました。

 福岡大学への訪問は、2016年に実施された日本建築学会の大会での発表以来となります。大学校内を散策すると、約25年前に私が学部生のころ利用していた校舎が次々に建て替わっていました。建築学科が入っている5号館は耐震改修工事が行われ、建物は残っていましたが、1階の私の所属研究室があった場所は、ガラス張りの多目的教室に変わっていました。これは、福岡空港から2駅の博多駅に降り立った時にも強く感じました。西日本シティ銀行の本店ビルが跡形も無く解体されていました。私は、建て替わる前の校舎や西日本シティ銀行の本店ビルを思い出せませんでした。建築は存在し続けることで、記憶や歴史の継承につながると思っています。

 建築キャリアデザインという講義は、発注側、施工、設計、海外などの各分野に進んだOBがこれまでのキャリアを話して、学生さんが進路を考える機会となるものです。夏季講座にも関わらず、50名以上の学生さんが受講されていました。私は建築の再生の設計について講義をさせていただきました。講義冒頭、私が28年前に大学に入学した頃の話をしました。入学初日のガイダンスにおいて、「バブルも弾けて、今から不況だから、建築業界は厳しくなるから。」と、高山先生に夢と希望を打ち砕かれたことを話しました。実際に、私が大学院を修了して社会に出る2000年は、日本が失われた20年と呼ばれる縮小社会に突入する終わりの始まりでした。

 私の講義後、私の後輩にあたる、日建設計のウッドラボの代表を務める大庭拓也さんが講義をおこない、私も講義を楽しく拝聴しました。大庭さんの講義後、高山先生を交えて楽しい議論をさせていただき、コロナ後の東京での再会を話しました。

 このような社会状況の中、私が建築再生の道に進み、今日まで、一筋にそれを続けられていることは、建築再生が現代社会に求められているということではないかという思いがあります。バブルの頃にはバブルの頃に、今の社会には今の社会に、建築は時代の要請に応じて求められるものだと思っています。今回の帰福の際、後に私の恩師となる、建築家青木茂の存在を学生時代に教えてくれた、同期の旧友である小山くんに、小山くんが所属する立派な職場のビル前で少しだけ会いました。あの時、青木茂先生の著書である「建物のリサイクル」を教えてもらわなかったら、今の私は別の道に進んでいたかもしれません。(小山くんに伝えてはいませんが、本当にありがとう。)切磋琢磨しながら、ガシガシ設計課題やコンペに取り組んでいた頃を懐かしく思い出しながら、ほんの少しの時間でしたが、近況を報告しあいました。もっともっと偉くなって、電気ビルの再生の仕事ください。

 また、同期の旧友である村上くんにも会いました。福岡で長年、設計事務所を経営している村上くんの事務所に訪問して、近況を報告しあいました。広々とした模型室が本当に羨ましく思いました。天満宮の作品ができたら、必ず見に行きます。

 実は、今回の講義に合わせて、再生の相談を受けている、博多にある築80年の伝統木造建造物の視察にもうかがいました。以前、私の尊敬する先輩が結婚式を挙げたところで、蘇らせる方策を相談者と練っているところです。このタイミングで、かつ、自らが利用したことのある建物の再生の依頼を受けることに縁を感じます。アフターコロナで求められる建築は何かということを考えながら、建物を拝見しました。

 講義当日、建築学科の事務の方が、私の授業の様子を建築学科のツイッターにアップしたいと言って許可を取りにきたのですが、何と、建築学科の同期の池永さんでした。私の講義の様子が2021年8月5日のツイッターにアップされていますので、お手隙の際にでも、ご覧くださいませ。

 昨日、高山先生から学生さんが書いた講義レポートのデータを拝受いたしました。講義を踏まえて感じたことや建築再生に関する分析や、自らの考えを交えて、これからの学業に活かす姿勢などを自らの言葉で丁寧に書いているものもありました。建築再生に対する気づきを感じる内容が多く含まれていましたので、私は一定の役割を果たすことができたのではないかと、勝手に感じております。今回の帰福は、多くの人の縁を感じた旅となりました。このような、貴重な機会を与えていただいた高山先生と福岡大学に感謝を申し上げます。

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